【コラム】持っている辞書が違う

持っている辞書が違う

 
私たちは、共通言語である日本語を使っていますが、
同じ日本語でも通じ合えない、ということがあります。
 
なぜならば、人それぞれ持っている辞書が違うから。
 
そして、その辞書の違いが
ミスコミュニケーションを起こし私たちを悩ませるのです。
 
ある後輩の指導を任されていた時の話です。
 
一人前に育てようと力を注いでいたのですが、
なかなか思ったような結果は出ず、
私も後輩も行き詰まりを感じていました。
 
当時、私は「頑張って!」という言葉をよく後輩にかけていました。
 
「はい、頑張ります!」と毎回、後輩は言いますが、
私の期待とは違う結果ばかり。
 
そして、また「もっと頑張って!」と声をかけ
「はい、頑張ります!」の繰り返し。
 
「頑張って・・・と言っているのになぜ、もっと頑張らない?!」
と、私は疑問に思っていました。
 
ある日「あなたにとって、“頑張る”ってどういうことなの?」
と後輩に聞いてみると驚くべき答えが返ってきました。
 
「頑張るとは我慢する、耐えることです。」
この答えに、私は驚きました。
 
なぜならば、私が使っている“頑張る”という言葉と
意味がまったく違っていたからです。
 
私にとって、“頑張る”という言葉の意味は
「前向きに行動する、積極的に取り組む」というようなもの。
 
我慢する、耐えるという意味とはぜんぜん違っていました。
 
私たちの会話をもう一度振り返ると・・・
私:「頑張って!(前向き、積極的に行動してね!)」
後輩:「はい、頑張ります!(はい、我慢します、耐えます!)」
という会話だったんです。
 
後輩は、その言葉の通りじっと我慢して、耐えていたんです。
これでは、後輩が望ましい行動を起こすはずがありません。
 
私と後輩とのミスコミュニケーションが起こって当然のことです。
 
それから、私は後輩に「頑張って!」と二度と言わず、
具体的にどう行動すべきなのかと伝えるようにしました。
 
 

相手の辞書を知る

 
私たちは、同じ日本語を使っていても、
その言葉の意味がそれぞれ違っている、解釈が違うということが多々あります。
つまり、お互い持っている辞書が違うということ
 
「頑張る」という同じ言葉を辞書で引いても
私と後輩では、辞書の中の意味が違っていたんです。
 
それは、それまでしてきた経験が違うから仕方がないんです。
 
他にも、「協力、一生懸命、優しさ、積極的、幸せ」
これらも、人によって意味合いが違うことが多い言葉です。
 
同じ言葉を使っているから、
通じ合えているというのは大きな間違い。
 
みんな、辞書が違うと思って
コミュニケーションをとった方がいいです。
 
まずは、相手がどんな辞書を持っているかを
知ることからスタートです。
 
互いの辞書が分かり合えた時、
本当の意味で分かりあえるんでしょうね。
 
質問・お問い合わせはこちらま