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【コラム】人の行動はシンプル

人の行動はシンプル

人間の行動に関して説き明かしていく「行動分析学」という学問があります。

その中心を成す理論は「ABCモデル」と呼ばれています。

 A:“Antecedents”=誘発要因
   行動のきっかけとなる目的や行動する直前の環境のこと

 B:“Behavior”=行動
   発言、態度、振舞い、行為など

 C:“Consequences”=行動結果
   行動によってもたらされるもの 行動した直後に起きた環境変化のこと

人の行動には、何らかのきっかけ、

言葉を変えると誘発要因があり(A)

そのきっかけで行動が引き起こされ(B)、

その行動の結果(C)によって、

再び同じ行動をするかしないかが決まってきます。




例えば、

 あるレストランを紹介してもらいました。

 さっそく予約をして行ってみました。

 雰囲気もよく食事も美味しく大満足でした。

 美味しかったので
 数日後、またその店に行ってしまいました。

 この一連の行動をABCモデルに当てはめてみると

 あるレストランを紹介してもらいました。→A:誘発要因

 さっそく予約をして行ってみました。→B:行動

 雰囲気もよく食事も美味しく大満足でした。→C:行動結果


 
そして興味深いのは、


 A:誘発要因はC:行動結果に影響されるというサイクルを作る点。

 もし、

 「雰囲気が悪く、まずかった」という行動結果だとしたら、

 その結果が誘発要因に影響を与えます。

 その場合、その店に行くことは

 「雰囲気が悪く、まずい」というマイナスの行動結果が予想されますから

 その店に行こうとしなくなります。

職場でのケースもみていきましょう。


<ケース1>

上司から

「新規事業に対するアイデアを出してほしい」と言われました(A)

アイデアを考えるのは苦手だけど、

自分なりに考えてアイデアをまとめて

上司に意見を言ってみました(B)

すると上司は

「いいアイデアをありがとう!助かるよ。

 これからも頼むよ、期待しているよ!」と言いました(C)




<ケース2>

上司から

「新規事業に対するアイデアを出してほしい」と言われました(A)

アイデアを考えるのは苦手だけど、

自分なりに考えてアイデアをまとめて

上司に意見を言ってみました(B)

すると上司は

「そんなアイデアしかなないのか?!

 もうちょっと、まともなこと言えないのか?!

 つまらないアイデアは出さないでくれ」と言いました(C)




<ケース3>

上司から

「新規事業に対するアイデアを出してほしい」と言われました(A)

アイデアを考えるのは苦手だけど、

自分なりに考えてアイデアを企画書にまとめ

上司に提出しました(B)

すると上司は、「そこに置いておいて」とひとこと言い、

企画書を見ようともしません。

3日経っても、企画書はそのままです(C)




いかがでしょう?

ケース1、2、3の中で、

今後もアイデアを出してくれる可能性が高いのはどれでしょう?



お分かりですよね。

もちろん、ケース1です。


上司にねぎらい、感謝、期待の言葉をかけられたという行動結果Cが

次の誘発要因Aに影響します。


きっと次もアイデアを言ったら

上司からねぎらい、感謝、期待の言葉がかけられるだろう

というプラスの行動結果が予想できますから

また、上司にアイデアを言おう!という気持ちになります。


しかし、ケース2では

頑張って考えたアイデアを上司に否定されてしまいました。

次、またアイデアを上司に言っても

また否定されてしまうかもしれない・・・という

マイナスの行動結果を予想し

その後、積極的にアイデアを言おうとしないでしょう。



ケース3においては、言うまでもありません。

頑張ったって「見てくれない」「やっても無駄」という

マイナスの行動結果を予想するので、次の行動は期待できません。

ケース2、3は、職場で起こっています。

 「せっかく挨拶したのに、無視される。

  あるいは相手の反応がイマイチ。だからもう挨拶なんてしたくない」

 「上司に報告したのに、喜ばれない。

  それどころか叱責される。

  だからますます報告行くのをためらう」

 なども同じ現象です。



人の行動というのは

誘発要因(目的)Aのために行動Bをしたとき、

行動結果Cが望ましいもの、欲しいものであれば、

人は行動Bを繰り返します。

逆に行動結果Cが望ましくないもの、いらないものなら

行動Bをしなくなります。


人間の行動はシンプルですね。


大事なのは、

誘発要因Aに力を入れるのではなく、行動結果Cに力を入れること。

次の行動を促すような行動結果にしていかなくてはならないのです。



しかし、この行動の原則を

わかっているようで、わかっていません。


部下、社員に積極的な行動をさせたいが故に

誘発要因Aに力を入れている組織が多いのです。


誘発要因Aに力を入れているとは

例えば、

 魅力的な方針を打ち出す

 高い目標設定

 目標管理制度

 人事評価制度

 充実した福利厚生

 職場の環境整理 など。


 部下、社員の方々がやる気になり、

 積極的な行動をするように

 いろんなことに取り組んでいらっしゃいます。


もちろん・・・

これが悪いわけではありません。

動機づけという視点では必要な要素です。


しかし、ABCモデルにおいては


大事なのは行動結果。

行動の結果、自分が欲しいもの、望んでいるものが得られると

わかった時、人間は同じ行動を繰り返そうとするのです。


こんなケースもあります。


<ケース4>

上司から

「新規事業に対するアイデアを出してほしい」と言われました。

 その期限は今週いっぱい。

 もし間に合わなければ、評価に響くと上司は言っている(A)

 アイデアを考えるのは苦手・・・気が重いな・・・と思いながらも

 悪い評価はもらいたくない。

 だから自分なりに考えてアイデアを企画書にまとめ提出した(B)

 
行動のきっかけとなる誘発要因Aは

「評価に響きたくなければ・・・」という半分脅しのような言葉。


評価に響くとは、望ましくないもの、いらないものなので

それを避けるために頑張って企画書を作ります。

その結果、評価には響かないという行動結果Cを得ます。


このケース4は

脅しや脅迫などによって行動を促すやり方です。

結構、このやり方も多く見られますね。

「~しないと減点だぞ」

「~しないと怒られぞ」など

 期待する行動をとらなかった場合、

 マイナスの行動結果になりますよ、

 それが嫌なら期待する行動してね。という感じです。


このやり方でも、行動は起きますが、

一時的なものです。

どこかで開き直りや、

脅しや脅迫がきかなくなる時が訪れるので

あまりオススメできません。




やはり私はケース1がいいと思います。

自ら「やろう!やりたい!」と思えるような関わり、言葉がけが

また次の積極的な行動を生み出します。


少し、行動結果Cを意識して関わってみてください。

きっと相手の行動が変わりますよ!




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by Musee | 2011.12/01 | コミュニケーションコラム, 考え方