【コラム】問題の一般化は事実を歪める

問題の一般化は事実を歪める

加藤さんの職場は女性が活躍している職場ですか?
最近、多くなってきている女性向けの研修。


 「女性社員のモチベーションを高めて欲しい」
 「女性社員の意識改革をして欲しい」


など、
女性をもっと活躍させたい!と考えている組織は多いようです。


しかし、その反面
 「女性は意欲や意識が低い」「女性は使えない」「女性は指導が難しい」
 など感じられている人がいるのも事実。


本当に女性は意欲や意識が低いのでしょうか?
みなさんはどう思われますか?

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以前の日経夕刊で
女性社員活躍推進の記事が出ていました。


ご存じの通り、
生産年齢人口(16歳~64歳)は減るばかり。
男性労働力だけに頼っていては人材確保が難しい時代、
女性社員の活躍は経営上避けて通れない課題と言ってもいいでしょう。


数年前から多くの企業が
女性活躍推進に力を入れ出しました。
その取り組みの結果、女性社員の採用率や
総合職比率、管理職比率が高まった企業もあります。


しかし・・・
実際のところ、うまく行っていない企業も多いようです。
働く女性は増えたものの、女性管理職の比率は
部長4.2%、課長7%とまだまだ少ない状況です。


もちろん、
管理職に就く=活躍、とは一概に言えませんが、
企業風土、女性の働きやすさをみる1つの目安にはなるのではないでしょうか。


女性の活躍は、労働力の問題を解決するだけではなく、
売上、成果にも大きく影響します。


21世紀職業財団が実施した
「企業の女性活用と経営業績との関係に関する調査」によると、
女性の能力発揮促進に取り組んだり、管理職へ登用するなど、
女性の活躍が進んでいる企業ほど業績が良いという結果が出ているそうです。


「5年前と比較した女性管理職比率の変化」が
「大幅に増えた」企業の売り上げ指数が173.7であるのに対し、
 
「大幅に減った企業」の指数は83.5!
  
なんと2倍以上の差があるという結果がでているんです。


ここからわかるのは、


女性が活躍する企業になることが、
今後の企業成長にはなくてはならないものであること。

 
「頭ではそんなことはわかってい・・・でも
 実際、女性の活躍は難しんだ」と思われる方もいるでしょう。


日本生産本部が昨年行った調査によると
女性を育成する上での課題を聞いたところ
もっとも多かったのは
「女性社員の意識」で81.7%
「女性の意欲が乏しい」「感情的になりやすい」など
厳しい結果がでました。


研修の中でも、「女性社員には特に叱れない」なんて声も聞かれます。
遠慮や変な気遣いで躊躇してしまのでしょうね。


確かに、そういうお声を実際に聞きますし、
女性活躍推進を進める上で、ネックになる部分でもあります。


結婚、出産、子育て、介護などライフイベントの影響を受けやすいですし、
仕事よりもプライベートや家庭を優先する方もいるでしょう。


しかし、これは女性故の問題なのでしょうか?
女性の活躍が進まないのは女性側の問題なのでしょうか?


私は女性だけの問題とは思えません。
「女性の意識が低い」という声も聞かれれば
「イマドキの若い社員は意識が低い」
「再雇用の社員は意識が低い」
「パートは意識は低い」などなど
“意識が低い”と言われるのは女性に限らずなんですね。


何が言いたいかというと・・・
 “何かのせい、誰かのせい”にしていないか?!
  
 “問題を一般化していないか?!”

  
 ということです。


女性の活躍がうまく進まない原因を
“女性だから”としたら、楽なのかもしれません。


本当の原因は、そうではなくて
仕組みかもしれないし、上司の関わり方なのかもしれません。


見なくてはならないのは、
 “男女差”ではなく“個人差”であるということ

 
意識が低い女性もいるかもしれませんが、高い女性もいます。
男性だって皆が意識が高いわけではなく、低い男性もいるわけです。


「女性は意識が低い」と“男女差”で捉えてしまった瞬間
 女性の能力や可能性は閉ざされてしまいます。


 
 “人は人から期待された通りに振舞う”

 
「意識が低い」とマイナスの期待をすれば
その期待通りの結果が出るのも当然のことですよね。


女性がもっと活躍する組織にするには
“男女差”のせいにしない
“個人差”で捉え、マネジメントしていくことではないでしょうか。

「能力がある、可能性がある」と信じて、期待し、
活躍できる場が適切にあれば、
そのプラスの期待通りの結果が得られると思います。


これは女性社員に限らずのこと。
私たちは
“問題を一般化”してしまいがちです。
「女性だから」「イマドキの若手社員だから」
「再雇用だから」「パートだから」と一般化すれば
自分のせいではなくなりますから楽です。


しかし、問題を一般化してしまうと
本当の問題解決ができません。
実は、相手に問題があるのではなく
自分に問題があるのかもしれません。


問題を一般化することは事実を歪めます


どうか、歪めず
相手を1人1人“個”でみて欲しいのです。


1人1人の可能性を信じて・・・。




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