【コラム】説得しても反発は収まらない

説得しても反発は収まらない

「思うように動いてくれない」
「指示をすれば反発される」
「ビジョン、目標に向かって意欲的に取り組んでくれない」
研修のお打ち合わせをしていると、
こんなお悩み、課題がよく話題にあがります。
「こうして欲しいな」
「こんな風に動いて欲しいな」と期待があっても、
その期待は裏切られ、反発されてしまうことがあります。
あからさまな反発でなくても、
思い通りに動いてくれない、意欲的に取り組んでくれない、というのも、
小さな反発の現れ。
「会社の方針なんだから、やってくれないと」
「どうしてわかってくれないんだ」
「これは会社にとって必要なことなんだ」
と説得すればするほど、反発は強化されていきます。
では、この“反発”にどう対応すればいいのでしょう?

説得は反発を助長する行為

反発といえば、
忘れ難い思い出が1つあります。
私が副店長に抜擢された時、
大きな反発が起こりました。
1人、どうしても
受け入れてくれない方がいたんです。
他のスタッフたちは協力的でしたが、
その方だけは、常に反発して
全体のチームワークを乱すほどでした。
指示を出せば、文句を言い、やってくれない。
方向性を示せば、「できない、ムリ」など否定的。
なんとかわかってもらおうと、説得すれば感情的になって話にならない。
こんなことの繰り返しでした。
その方は、オープン当初から
一緒に頑張ってくれていた方で、
能力も高く、チームへの影響力もある方。
そういう方だからこそ
「なんとかしなきゃ!」と私も必死に説得を繰り返しました。
しかし、何度話し合っても、
同じことの繰り返し。
結局、その方は去って行くことになりました。
忘れもしないですが、「絶対、認めない!」って捨て台詞を
私に言い、去って行きました。
20代前半の私としては、かなり衝撃的な出来事・・・。
自信喪失という簡単な言葉では
片づけられないほど落ち込みました。
今でも「私が辞めさせてしまったのかもしれない」と思うことがあります。
なぜなら、私がしていた“説得”は、
逆に、反発を助長させる行為だったからです。
みなさんは、説得されたいですか?
何か物を買う、決断をする時
説得されて決めたいですか?
恐らく、みなさんNOだと思います。
人って、説得されることが大嫌い。
自分で選択し、自分で決めたいんです。
では、どうしたら説得せずに、
反発を収め、意欲的になってくれるのか?
それを知るには、そもそもなぜ反発が
起こるのかを知らなければなりません。

反発が起こる理由

なぜ反発が起こるのかというと、
「変化への恐れ」があるからです

反発が起こりやすいのは、
 ・社長や上司が代わった
 ・方針が変わった
 ・制度が変わった
 ・仕事内容が変わった
 
 など、何かしら“変化”があった時が多いです。
人間って、基本的に変化が嫌い、というか得意ではありません。
できれば、“今”のままでいたい、現状維持したい欲求があります。
    
よく例であげられるのが、人間の体温。
平均36度の体温を保とうと、寒ければ震えたり、
暑ければ汗を出したりして調整しています。
他に、ダイエットが成功しない原因もここにあります。
急激なダイエットは、生命危機だと思い、
元に戻そうとするんです。自己防衛反応とも言えますね。
だから、痩せてもリバウンドしてしまうことが多いんです。
人の反発もそうです。
今までやっていた事や、
今まで当たり前とされていた価値観が変化しようとすると、
それを変化させまいと一生懸命になるんです。
指示や方針、あなたに反発しているのではなく、
変化を恐れているだけなんです。

その変化への恐れは、
「それは間違っている!」「そんなのできっこない!」と、
反発となって現れ、現状維持しようとするのです。
もちろん、本人はそのことを意識的にやってはいません。
無意識にやっています。
ですから、
「会社が良くなるために、こうして欲しい」と
一生懸命に説得しても、変化を恐れている限り聞き入れてはくれないでしょう。

じゃあ、変化を恐れ反発している人たちには
どうしたらいいの?
忘れてはならないのは、
反発が起こる原因の1つとして、
“変化への恐れ”があります。
人間は基本的に変化が嫌い、というか得意ではありません。
できれば、“今”のままでいたい、現状維持したい欲求があります。
今までやっていた事や、
今まで当たり前とされていた価値観が変化しようとすると、
それを変化させまいと一生懸命になるんです。
その恐れが反発となって表れているのです。
ということは…
反発を防止する、鎮める為には
できるだけ変化への抵抗感を少なくした方がいい、ということなのです。

反発を収めるための3つのポイント

「変化をそんなに恐れる必要はないですよ!」と、
相手に示していけばいいのです。
ポイントは3つ。
1.スモールステップを踏む
 変化は急激であればあるほど抵抗感が強まります。
 ですから変化は緩やかに進めた方がいいですね。
 「こんな風に変えて行くぞ!」
 「こんな風に変わらなければならない!」と、
 熱く情熱的に改革をうたっても、抵抗感が強まるばかり。
 もちろん、ビジョンを描くことは大切ですが、
 相手に要望するのは小さな変化から求めたほうがいいですね。
 小さなステップを順に踏んでいき、
 慣れてきた頃に、加速した方がいいでしょう。
2.「なに」よりも「なぜ」を
 「~をしよう!」
 「~をしなければならない!」と
 「何をすべきか」というような
 改革、変更案を伝えていくことも大切ですが、
 それよりも、もっと大切なことがあります。
 それは、
 「なぜ、それをしなければならないのか?」その意味や目的です。
 人は、意味や目的がなければ動こうとはしません。
 部屋の右から左に、
 段ボールを運ぶ作業があったとします。
 何の意味や目的の説明なく指示され、
 毎日この作業を続けるとどうなると思いますか?
 きっと、途中で、嫌気がさしますね(笑)
 怒りを感じる人もいるかもしれません、
 むなしくなる人もいるかもしれません。
 …ものすごく、マイナス感情になるんです。
 このように、人は意味や目的がわからないと、
 マイナスに感情が動くんです。
 変化への恐れも同じです。
 今、変化しようとしていることの
 意味や目的がわからない。ただ、変化だけ求められている…。
 これでは、意欲的にならないのも当然です。
 ですから、
 指示や方針、日々の仕事について
 意味や目的を常に伝えて行くことが必要なんです。
 意味や目的がわかり、
 自分がやっていることに価値を感じると、
 自然と意欲的に動き出します。

3.真剣に楽しく
 ある会社で、組織活性化のための
 新しい取り組みを始めました。
 社長、幹部たちから
 その取り組みの意図、想いを社員たちに伝えました。
 とても真剣に、情熱を持って。
 しかし、その取り組みに対して反発する社員も出てきて、
 結果的に失敗に終わりました…。
 なぜ失敗してしまったかというと
 
 社長、幹部の真剣さ、情熱が
 裏目に出てしまったんです。
 真剣さ、情熱が、より社員さんたちの
 恐れを助長させてしまったんです。

 
 真剣であればあるほど「変わらなくてはならない、今のままではまずい」
 という危機感に似たメッセージとして伝わってしまうことがあります。
 危機感や恐れで人を動かす回避動機は、
 マイナス感情を生み出します。
 このマイナス感情は、余計に社員さんが抱いている
 変化への恐れを大きくさせることになるんです。
 マイナス感情を抱いているところに
 さらにマイナス感情を注ぎ込む感じですね。
 真剣に取り組むのも、もちろん大切なんですが、
 真剣だけでなく、楽しくやるのがポイント
 楽しさは、ポジティブな感情を生みだします。
 そしてポジティブな感情は積極的な行動を促します。

 1人1人の感情は組織、チームに大きく影響を与えます、
 なぜならば、感情は人から人へ伝染するからです。
 楽しい、ポジティブな感情が広まれば、
 変化を恐れるマイナス感情も薄まり、
 反発も少なくなって行くのです。
 
 ですから、何か新しい取り組みをする際は、
 中心となる人たちが、楽しく取り組んで
 それを周りにどんどん伝染してって欲しいのです。

3つのポイントでお話してきましたが、
時に、人が去っていくことも覚悟しなければなりません。
キーマンだったり、仕事ができる人に限って、去っていく場合があります。
しかし、それは仕方がないことなんです。
会社が成長し変化をすれば、人も変わるのです。
私に反発していたスタッフも、
最終的には、辞めて行きました。
「私のせいかも…」と思うこともありますが、
組織が成長し変化した証なんだと、今は思えます。
その時、その時、
必要な人と自然と出会うようになっていると思います。

もし、去っていく人がいたら、
そういう時が来ただけのこと、成長した証なんです。
自分にとっても、相手にとっても、別の道を歩んだ方が
シアワセになれるんです、きっと。
そういった別れは
必ずしも、悲しいものではありません。
必要な別れ、互いにシアワセになるための別れもあるのです。
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