【コラム】働かないアリに意義がある

働かないアリに意義がある

「働かないアリに意義がある」
本屋さんで見かけ、タイトルに惹かれて買った本です。


“アリ”というと、「働き者」というイメージがあったのですが、
なんと働きアリの7割はボーっとしていて、
1割は一生働かないそうです!!!!
びっくりしませんか?


そんな働かないアリばかりいると
滅びてしまうんじゃないか?!と心配になりますが、
実は、この“働かないアリ”がいるからこそ
アリの社会は存続できているんです!


なぜ、“働かないアリ”が存在するのでしょう?
一見、組織崩壊させる原因になりそうな存在ですが、
“働かないアリ”に意義があるのです。

働かない理由とは

他の働きアリがせかせか働く中、
ボーっとしたり、自分の体を舐めたりしている働かないアリ。


なぜそのような働かないアリと働くアリと、
違いが生まれるのかというと
「反応閾値(いきち)」に違いがあるからです。


反応閾値とは
「仕事に対する腰の軽さの個体差」

ある仕事をする時、
“どの程度の刺激があったら動き出すのか?”
その行動を起こすのに必要な刺激量の限界値を「反応閾値」というそうです。


本の中では、反応閾値を
私たち人間の行動に置き換えて説明されていました。


皆さんはキレイ好きですか?あまり気にならない方ですか?


このキレイ好きな人とそうでない人も
汚れに対する反応閾値の違いによって変わってきます。


キレイ好きな人は汚れに対する反応閾値が低く、
ちょっとした汚れ(刺激)でもすぐ反応して掃除(仕事)をし始めます。


キレイ好きではない人は汚れに対する反応閾値が高く、
ちょっとした汚れ(刺激)では反応しない、
つまり、散らかっていても気にならず、
相当?!汚れたら、重い腰を上げやっと掃除(仕事)をする、という感じでしょうか。


この“反応閾値の違い”
言葉を変えると、「仕事に対する腰の軽さ」が違うから、
働くアリ、働かないアリが生まれるのです。


働かないアリも
「さぼっちゃおう~」とか
「働くの面倒だな」とか
そんな怠け心を抱いているわけではないのです。
彼らは、
働きたいのに働けない存在なのです。
アリの組織を存続させるために、
働かないアリになっているんです。

「いやいや、みんな“働き者”の方がいいんじゃない?」
と思いますよね・・・
しかし、みんながみんな“働き者”で
頑張って働いちゃうと、組織存続できないのです。


なんとアリの社会でも過労死があって、
よく働くアリは早死にしてしまうそうです。
(どこの社会もそうなんですね・・・)


みんながみんな頑張って
過労死してしまったらその組織はそこで崩壊です。
それでは困りますね!


そこで、働かないアリの登場です。
働きアリが疲労や過労死で働けなくなったら、
働かないアリが反応して働きだすのです。


これは「反応閾値」が違っているからこそできる技!


組織にとって、
必要な時、必要な量の労働が可能になり、
組織崩壊というリスクを回避できるんですね。

すごいぞアリさん!


また、優秀なアリばかりよりも
ちょっとうっかりさんなアリがいた方が組織にとってはいいそうです。

アリが一列になって行進しながら
餌を巣に運んでいるのを見たことありませんか?


あれは、餌を見つけたアリがフェロモンを出して
そのフェロモンを追って後のアリが続くそうです。


しかし、時に
そのフェロモンを追わず、道を外れ迷子になっちゃうアリがいるそうです。
(どこの組織にも間違えちゃう、うっかりさんがいるんです!)


フェロモンを完全にたどることができるアリの方が
安心して仕事を任せられ、優秀のような気がしますよね。


でも実験によると
優秀なアリばかりより、うっかりなアリがいた方が
効率的なルートを見つけたりして
餌の持ち帰り効率が上がったという結果が出たそうです。


迷子になりながら、偶然にも近道を発見したんですね。


優秀な人ばかりの組織よりも
うっかりさんのような異分子がいた方が
組織は発展するのかもしれません。


2:6:2の法則では、
組織の中で、上位の2割が
高い収益や実績・生産性を上げる優秀な人やグループ。
中位の6割は上位とも下位ともいえない平均的なグループ。
そして下位の2割の生産性が低いグループに分かれる
という法則ですが・・・
この法則にあてはめ過ぎて考えるのは、
とても危険な感じがします。


働かないアリ、うっかりなアリにも
その意味や価値があるように、
優秀だといわれる2割の人以外の人にも
必ず意味や価値・・・存在意義があると思うのです。

アリの話ばかりになってしまいましたが、
一番お伝えしたいのは、
みんな、なくてはならない存在であること。
必ず、役割があり存在意義があるということ。


今は期待する行動をしてくれない存在であっても
それには必ず意味、理由があるはず。
もしかしたら、それは
働きたいのに働けないアリと同じなのかもしれません。
働かないアリがいるからこそ、うっかりなアリがいるからこそ
アリの社会は存続できています。


アリと人間じゃ話が違いすぎる!
と思われるかもしれませんが…同じ生き物です、
人間の社会も、もしかしたらそうじゃないかな、と思うんです。


誰一人欠けてはいけない存在で、
何かしら役割や存在意義を持って生き、
社会に貢献している。


それぞれの存在意義を
お互い理解しえたら
もっと穏やかな社会になりそうです。





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